AMG8833のデータを簡易サーモグラフィぽくブラウザで可視化(前編)
この記事について
この記事ではサーモパイルセンサ(温度センサアレイ)を利用し、サーモグラフィを作成した内容を記載しています。今回は赤外線温度センサアレイとしてAMG8833を利用しています。スイッチサイエンスさんから購入することができます。なお、この記事はデバイス側の実装までを紹介した前編です。サーバ側の実装は後編で紹介しています。(2017/01/06追記)
AMG8833について
AMG8833は赤外線温度センサが8x8の2次元アレイになっているセンサです。Panasonicから発売されています。エアコンなどに搭載し、室内の人の位置などを検知することを目的に作られているようです。計測温度は0度〜80度です。電源とI2Cの端子のみでデータを取得することができます。ブレークアウト基板に実装されたものは1万円程度するものがほとんどです。そんな中スイッチサイエンスさんから4000円代でContaと呼ばれるスイッチサイエンス社規格の拡張ボード向け部品として発売されています。
もちろん、端子を使えばブレットボードに直差しで動かすことが可能です。今回はこのモジュールから取得したデータをサーモグラフィ画像ぽくヒートマップを表示します。
ヒートマップ表示の検討
初期検討
GUIのプログラミングをするのが面倒だったので、WEBブラウザで簡易的なヒートマップを作成することにしました。そのため、AMG8833からI2Cで取得したデータを何らかの方法でWEBブラウザに送る必要があります。基本方針としてはマイコンで取得したデータをWEBサービスに送り、そこからWEBブラウザに表示するようにしました。デバイスからサーバ間はHTTPでデータを送信します。デバイスからのセンサ値をサーバ側で受診後、すぐにWEBブラウザを更新したいため、サーバとWEBブラウザの通信はリアルタイムな通信を利用したいと考え、今回はSSE(Server sent event)を採用しました。まとめると今回の構成は以下の図のようになっています。
デバイスの実装
AMG8833からのデータ取得
データ取得にはESP8266(WROOM-02)を利用しています。I2Cで取得したデータを外部のサーバに送りたかったのとある程度のCPUパワーが欲し句、手持ちで使えそうなものを選択しました。今回はこれ以外にもデバック用にOLEDディスプレイをI2C経由で接続しています。上記で紹介したAMG8833はI2C用のプルアップ抵抗が付属していないのでI2CのSDAとSLCラインそれぞれにプルアップ抵抗(10kΩ)を入れています。OLEDディスプレイ側についてるのでなくても問題ないかもしれませんが、念のため入れておきます。
ライブラリの利用
AMG8833はAdafruitからライブラリが公開されています。今回はこちらのライブラリを利用しました。Arduino IDEを利用している場合はIDEのライブラリの管理からインストールすることができます。
AMG8833はI2Cのアドレスを入力ピンへの入力で0x68と0x69のどちらかに指定することができます。Adafruitのライブラリはデフォルトで0x69が指定されていますが、スイッチサイエンスのボードは0x68が設定されています。(基板上に実装されている端子をショートすることで切り替えできます。)そのため、ライブラリを利用する場合はアドレスを明示的に指定する必要があります。データを読み出し、OLEDにヒートマップを読み出すコードは以下のようになります。
#include <Arduino.h> #include <Wire.h> #include <Adafruit_AMG88xx.h> #include "SSD1306.h" const int pixel_array_size = 8*8; const float thd = 29.0; float pixels[pixel_array_size]; Adafruit_AMG88xx amg; SSD1306 display(0x3c, 4, 5); void setup() { Serial.begin(115200); bool status = amg.begin(0x68);//(1) Serial.println("-- Thermal Camera Test --"); if(!status){ Serial.println("AMG88xx is not available. Please connect the sensor."); while(1); } //OLED Initialize. display.init(); display.flipScreenVertically(); } //Draw rectangle to OLED. void black_rect(int x, int y, int size){ display.drawRect(x,y,size,size); } //Draw rectangle to OLED. void circle(int x, int y, int radius){ int r = radius/2; display.drawCircle(x+r, y+r, r); } //Draw X to OLED. void cross(int x, int y, int size){ for(int i=0; i < size; ++i){ display.setPixel(x+i, y+i); display.setPixel(x+size-i, y+i); } } //Draw fill rectangle to OLED. void white_rect(int x,int y, int size){ display.setColor(WHITE); display.fillRect(x,y,size,size); } //Draw heatmap image. void draw_display(float pixels[], float thd){ int x=0; int y=0; int size = 7; for(int i =0; i < pixel_array_size; ++i){ if(i%8==0){y+=size;x=0;} x = size * (i%8); if(pixels[i] > 24 && pixels[i] <= 29){ cross(x,y,size); }else if(pixels[i] > 29 && pixels[i] <= 34){ circle(x,y,size); }else if(pixels[i] > 34){ white_rect(x,y,size); }else{ black_rect(x,y,size); } } Serial.println(""); } void loop() { amg.readPixels(pixels);//(2) Serial.println(" "); delay(1000); display.clear(); draw_display(pixels, thd); display.display(); }
- (1) AMG8833のイニシャライズ時にI2Cのアドレスを指定します。
- (2) readPixelsメソッドにサイズが64のfloat型配列を渡し、計測値を取得します。
実行すると以下のようにOLEDに8x8のデータが表示されます。温度に応じて表示される図形が変わります。
まとめ
最終的に実装したデバイス側のソースコードをGitHubに公開しています。
64要素のfloat型配列をそのままJSONとしてサーバ側に送信し続けるコードになっています。次回はこのデータを受けて、ブラウザにヒートマップを表示する実装を紹介します。